直人と倉持の会VOL.2 「磁場」

さて。

また観劇記録に戻りまして・・・

 

1月になりますが、大空祐飛さんご出演「磁場」を観て参りました。

 

 

【作・演出】倉持裕

【出演】竹中直人渡部豪太大空祐飛長谷川朝晴

    黒田大輔玉置孝匡菅原永二田口トモロヲ

 

【公演日程】

東京公演:2016年12月11日(日)~25日(日) 本多劇場

大阪公演:2017年1月15日(日) サンケイホールブリーゼ

島根公演:2017年1月17日(火)

愛知公演:2017年1月19日(木) ウィンクあいち

神奈川公演:2017年1月21日(土) 湘南台市民シアター

 

【あらすじ(公式HPより)】

 

あるホテルのスイートルーム。売出し中の脚本家・柳井が、映画のシナリオ執筆のために缶詰にされている。

映画の題材は、日系アメリカ人の芸術家、マコト・ヒライ。 その映画の出資者で資産家の加賀谷は柳井を非常に買っていて、過剰な期待を掛けている。

柳井は加賀谷の期待に応えようとやる気になる。 加賀谷は柳井が求める以上のものを用意し、大勢の有力者に引き合わせる。

加賀谷の威光のおかげで誰もが無名の柳井を丁重に扱い、柳井は自分まで偉くなったような錯覚に陥る。 しかしやがて、柳井が書きたい脚本と、加賀谷が書いてもらいたい脚本には決定的なズレがあることが明らかになってくる。

柳井はどうにか自分のプランを理解させたいのだが、加賀谷はマコト・ヒライ関連の膨大な資料を読破しており、

まるでマコト・ヒライの分身であるかのような物言いをする。 しだいに柳井は加賀谷の自伝を書かされているような気持ちになってくる。

当初、プロデューサーの飯室は柳井のプランを絶賛していたが、すぐに加賀谷の味方についた。

加賀谷がスポンサーを降りさえしなければ映画の内容などどうでもいいという態度だった。 一方、監督の黒須は骨のある男で、加賀谷の意見をことごとく突っぱねる。

加賀谷は不愉快そうにしながらも黙って従った。

しかしやがて黒須の攻撃が柳井にまで及んだ途端、態度は一変する。

表情は失せ、淡々と、冷酷に黒須を傷つけていく。

それを見せつけられた柳井は、何があっても加賀谷を失望させてはならないと思うようになる。 加賀谷の秘書の赤沢は、歯に衣着せぬ物言いをする男で、彼の言葉こそが加賀谷の本音とも取れた。

加賀谷が普段誰に対しても愛想よく寛大な態度でいられるのは、その裏で赤沢が加賀谷の要求をすべて通しているためだ。 脚本はまだ一枚も書けていないにもかかわらず、加賀谷は椿という女優をすでにキャスティングしており、柳井に紹介する。

見たことのない女優だ。「書きたいように書くといいわ」と彼女は加賀谷の前で柳井に言う。

彼女だけは加賀谷の前で自由に振る舞えるように見えた。 もはや柳井は自分の意見を何ひとつ言えなくなる。

それを打開しようと、自分より経験が浅い脚本家の姫野をアシスタントとして呼ぶ。

そして彼に意見する形で加賀谷のアイディアを否定する。

加賀谷は複雑な顔をしつつも柳井の言葉にうなずき、彼と一緒になって姫野を否定する。 しかし何をやってもやはり柳井は書き出せない。

加賀谷は相変わらず尊敬の態度を崩さないものの、徐々に苛立ちを見せ始める。

プレッシャーがピークに達し、発狂寸前のところで柳井は開き直る。

それまで加賀谷が語った「熱い要望」をすべて無視して好き勝手に執筆する……。 果たして、その先にある結末は、希望なのか破滅なのか、そして、複雑に絡み合った加賀谷と柳井をとりまく人々の思惑とは―――。

 

 

せんせんせんせんせんせんせんせんせんせんせんせんせんせんせん

 

ストーリー的には、まぁこのあらすじ通りでした。

 

そして、見終った率直な感想は・・・

 

恐いよぉおおおぉおぉぉぉおぉぉぉぉ・・・なく

 

 

って感じでした。

 

タイトルの「磁場」の意味するところは

 

見えない引き寄せられる力・近づいたらもう逃れられない場所

 

的な感じに自分的には解釈したんですけどね、

 

あーもうこの人たち権力者加賀谷からずっと逃げられずに生きていくんだわ、って思いました。

そしてぞっとしました。

 

最初はとってもご機嫌さんでニコニコと近寄って来て、

いい作品を作りましょー協力しますよー、って言う

素敵なスポンサーさんなんですよ。

 

でも、自分の理想にそれた作品を作ることは許さないし、

歯向かう人間も許さない、

かといって離脱していくのも許さない。

 

ジワジワと、それこそ真綿で首を絞めるように関係者を自分の意に添うようにもってく。

めっちゃ恐いんだな、これが。

 

この不気味なスポンサー加賀谷役を竹中直人さんていうのがこれまたキャスティングの妙でして。

もうこの時点で8割方この作品成功してるんじゃないかなって思うほどの適役でした。

 

で、この加賀谷に巻き込まれていく、そして取り込まれていく作品の関係者たちも

曲者揃いで、しかも加賀谷に対する対応にも個性があって出色の出来。

 

 

プロデューサーの飯室さんはもう最初から加賀谷さんの言いなりになる人、

 

監督の黒須さんは加賀谷さんに楯突くものの懐柔されてしまう人、

(この懐柔されていく場面、ねぇ一体彼に何があったの?彼は何をされたの?

っていう恐ろしさもありました・・・)

 

女優の椿さんはすでに加賀谷さんに取り込まれている人で、

加賀谷の恐ろしさが客観的に見えているけれども、

あがいても無駄なこともわかっている人、

 

加賀谷の秘書の赤沢は周りの人間を加賀谷に従わせるように

もっていくことで加賀谷の傍近くに仕えている人、

 

こんな人々の中でこの物語の主人公・脚本家の柳井くんは、

最初は加賀谷さんの求める脚本を書こうと頑張るんですよ。

彼にとってこの映画は大きなチャンスなんですから。

 

でも、彼はちゃんと気付くんです。

こんなの自分の書きたいものじゃない。

たとえこのチャンスを逃したとしてもここから逃げようって。

 

逃げられるはずだったんです、彼は。

 

彼が加賀谷から逃げようとしたことによって、 加賀谷は彼をスッパリと切るんです。 サヨナラ柳井くん。 で、柳井くんを手伝いに来てた姫野を新たな脚本家として迎えるんです。 姫野は柳井くんの劇団の先輩で、 まぁ芝居も脚本もイマイチパッとしない人。 柳井くんが加賀谷の期待を一身に背負っていっぱいいっぱいになってる時に アシスタントとして呼ばれた人。 監督もプロデューサーも女優も、 みんな加賀谷の機嫌を取りながら これまで通り映画の作成を進めていく。 ただ、自分の居た場所、 自分が居るはずだった場所にいるのは ポンコツ先輩の姫野。 この時の柳井くんの心境、なんとなく想像つきますよね。 そして、執筆用に用意してもらっていたホテルを柳井くんが出て行く日、 彼はホテルの高層階から突き落としてしまうんです、姫野を。 そして駆け付けた加賀谷が言うんです。 大丈夫心配ない。 全て私がなんとかしましょう。 大丈夫ですよ。 震えて崩れ落ちる柳井くん……

むきゃー恐怖

 

 

ってなりますよね… こうしてきっと柳井くんも、 加賀谷から逃げられない人になったんですよね。 恐いわー。 と、いう『磁場』の巻でした。 面白い作品の中で、 美し可愛い女優役のゆひたんが見られて 大満足でありました!