「壬生義士伝」「Music Revolution!」①

さて。

観劇記録の続きなわけですが。

 

 

 毎回思うんです。

 

次の公演が始まるまでには、って。

 

でもね、気付くと次の公演も終わってるんです

 

でもやっぱり毎公演思うんです。

 

次の公演が始まるまでには、って。

 

 

 

んだば。

まずはお芝居壬生義士伝からいくからな

 

ポスター

 

かんぽ生命 ドリームシアター
幕末ロマン

~原作 浅田次郎壬生義士伝」(文春文庫刊)~
脚本・演出/石田 昌也

 2002年にドラマ化、そして2003年に映画化され大ヒットを記録した、

浅田次郎氏のベストセラー小説「壬生義士伝」が、宝塚歌劇で舞台化!
幕末、南部藩の下級武士として生まれた吉村貫一郎は、

貧困にあえぐ家族を救う為に妻・しづを残して脱藩し、新選組隊士となる。

朴訥な人柄でありながらも北辰一刀流免許皆伝の腕前を持つ貫一郎は、

金の為、ひいては盛岡に残る妻子の為に危険な任務も厭わず、人を斬り続ける。

しかし時代の流れには逆らえず、新選組鳥羽伏見の戦いで敗走。

隊士達が散り散りとなる中、深手を負った貫一郎は

何としても故郷への帰藩を請うべく大坂の南部藩蔵屋敷へと向かうのだが、

そこにいたのは出世し蔵屋敷差配役となった竹馬の友・大野次郎右衛門だった…。
宝塚歌劇でも新選組を題材とした作品は過去に多く上演しておりますが、

これまでとは全く異なる視点から描かれる新選組の物語となります。

近藤勇土方歳三斎藤一、そして沖田総司

新選組の名だたる隊士が一目おいた田舎侍・吉村貫一郎

武士としての義、家族への愛、そして友との友情という人間ドラマが凝縮されたこの作品に、

望海風斗率いる雪組が新たな挑戦をいたします。

 

主演:望海 風斗、真彩 希帆

 

宝塚大劇場:2019年5月31日(金)〜7月8日(月)
東京宝塚劇場:2019年7月26日(金)〜9月1日(日)

 

 

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もうまずね、セリ上がり貫一郎さんが可愛いの

 

でね、カゴ背負った板付きしづさんもまた可愛いの

 

それでね、雪ん子たちがこれまた最高に可愛いの

 

この、貫一郎さんがしづさんにプロポーズする場面。

この後がどんどん辛くなっていくだけに、

この場面がとてもとても可愛らしくて癒される。

 

剣を磨き学問を修め~って歌う次郎衛殿に

はああああ〜っていう可愛いハモリがないのがいつも寂しかったから

私が歌ってあげたい。(迷惑です)

 

 

で。幸せな場面はあっという間に終わってさ。 

 口減らしの場面ね。

 

ここ、原作読んだ時に衝撃だったから削られなくてよかった。

 

でもさー!

貫一郎さんさー!

しづのお腹に子がいることも母が飢えているのも本当に気付かなったの?

ってちょっと疑問は残る。 

 

あと、この場面初見の時から思ってたんだけど

じろえたんがしづさんを支えるあの演出要る?!

もうさ、本当にありがとうね!!!

(さききほバンザイ)

 

脱藩の場面は、本当に

望海さんの役者としての実力的なものが鮮やかだった。

 

 「石を割って咲く桜」という曲は

だいきほコンビを代表する名曲になったんじゃないかとすら思った。

 

銀橋で歌う貫一郎の声に本舞台から和楽器のようなしづの声が重なるのが

まるで離れていても共鳴しあっている夫婦を現わしているようで感動的。

 

 「必ず帰る」という言葉。

それを信じている心ともう会えないかもしれないという心の、その両方を2人が抱えている。

  

見ていて悲しく辛いながらも2人の心の底の絆の深さ強さを感じてなぜか少し温かいものも

感じられるから不思議。これは原作の力も多分にあると思う。

 

あと、この場面ではなんといっても、あみちゃん嘉一郎とみちるちゃんみつ。

この2人が素晴らしかった。

幼いながら強くならなきゃいけないことを感じている嘉一郎と

ただただ、ととさまが行ってしまうことが悲しくて受け入れられないみつ。

どちらも涙を誘う名キャスト!!!

 

名キャストといえば、この場面に限らずなんだけど、佐助役のりーしゃさんが

とんでもなく絶品の演技だった。

幕末の善さんに続き咲ちゃんに遣えるりーしゃさん、このテッパン具合よ!

原作でも佐助さんの果たす役割は大きいから、この配役は最高でした。

(石田先生、配役は本当に天才的なんだよね、配役は!!!)

 

 

 

 

 さて一方新撰組ね。

 

最高ね。

 

もう登場からさ。

本舞台いっぱいに居並ぶイケメン隊士たち。

そして歌いながら銀橋渡りしていく

土方・凪様&斎藤・あーさ&沖田・ひとこ

(自家発光によりまぶしすぎる雪組を代表する麗しき男役並び)

(安定のひとこちゃん高音担当。笑)

 

人が良くてみんなに慕われる近藤と
実際は新撰組を仕切ってる切れ者土方を

まなはるさんと凪様が同期で演じているのもいいよね。

斎藤あーさがちゃんと左利きなのとか

沖田のはじめくんと呼びとか

壇上で酒を飲む土方の美しさとか
土方と沖田のアイコンタクトとか

このあたりの演出天才的でしたね。

 

 土方と吉村が対峙する場面では一気に劇場中の空気が張り詰める。

「切ってくれるやつがいないから生きてるだけだ」

って斎藤は言うけど、でもそうは言いながら自分が詰められると

冗談だって吉村をかわす斎藤はきっと本当は生きていたい人なんだろうな。

「初めて怖いと思った」っていう本音を総司には言えるってとこも萌えポイント。

 

 小川切腹の場面では、機械的に人を斬る吉村の姿がそこにはあって

こんな風に彼は京の街で、ただ家族のために、生きんがために、

人を斬っていたんだってことがわかってこの流れはよかったです。

やっぱり感動的な場面やカッコイイ場面だけじゃなく

藩を捨てた吉村がどのように新撰組隊士として過ごし

それなりの録を得ていたのか、小説と違って舞台では時間が限られているから

難しいとは思うけど、でも少しでもここがちゃんと説明されているかどうかで

観客の受ける印象や理解度の深さが全然違うんじゃないかな、って

そんなことも思いました。

 

 油小路の場面も原作でかなり大きく扱われてる出来事。

斎藤密偵のエピソードは削られてるけど

舞台的には華やかな殺陣のシーンありあさひと萌えを生み、あとさ、

なんといっても凪様土方がくるくるくるって刀を収めるあれ

あれを堪能できただけでも名場面ですわ!!!

 


永倉と原田の下手な芝居とか

突然の吉村任三郎爆誕とか

5両ずつ出せよの件とか

そこからの結局土方さんは全部お見通しだよーの流れとか
私は、悪くない、むしろ好き、って思ってみてました。

 

 

 

残念だったのは親戚の改変

え?原作ではイイ人達だったよね?

しづたちを受け入れてくれる親戚だったじゃん??

なんであんなお金巻きあげる人たちになっちゃったの?

これじゃせっかくの送金が役に立っていないじゃないの・・・

一体何のために貫一郎は心を捨てて人を斬っているの・・・

 

でもこの場面、みちるちゃんの天才っぷりが冴えわたってましたね。
ととさまの簪を守ろうとする姿も、新しいべべなんか要らない!って強がる姿も。
「こらえてね」って涙するしづとすがって泣くみつには毎回泣かされました・・・

 

 

この公演できほちゃんはしづさんとおみよちゃんの2役を演じていて

理由としてはしづさんだけでは出番が少ないからっていうのもあると思うんだけど

でも、おみよちゃんにしづさんの面影を見出すこの演出はとても好き。

 

家族のためにって割り切っててもそりゃ貫一郎さんだって寂しいし

愛妻に会えなくて辛いよね。

思い出して悲しくなることだってあるよね。

でも、自分を通して奥さんの面影を追われたらおみよちゃんも可哀想だよね。

ホント辛い。みんな辛い。

 

でも、このおみよちゃんとのお見合いの場面。

蛍を追って舞う甘く美しいだいきほ

が見られたという点では大勝利な場面。

 

あと、八木のおじさま役の桜路くんがこれまたいいの!

(石田先生、配役は本当に・・・以下略)

 

「みんなわかってない!」ってくってかかる池波や

それを抱きしめてありがとうっていう貫一郎さんにも毎回泣いたなぁ。

(ひまりちゃんが何者なのか結局わからなかったけど)

(池波くんと仲のいい八木邸の女中さんてことかな?)

 

鳥羽伏見へと出陣していく新撰組
見送るおみよちゃんと彼女に寄り添う八木のおじさまも素敵。
もっと遠くから見守る次郎衛門と佐助の姿も素敵。

 

 

鳥羽伏見の場面ではなんといっても

握り飯のやり取りでのはじめちゃんのぴゅあぴゅあが大好きだった。

なんだかんだ言って吉村のこと好きなんだよね。はじめちゃん?

吉村を死なせたくない、死なせちゃいけない、みんながそう思ってる。

おみよちゃんとのお見合いを勧めたのもこれが理由だよね。

斎藤の、なんとしてもこいつを死なせるわけにはいかないっていう想い、

これは原作にもあってとてもいいんだけど、でも、その後が?

どうしてあそこで吉村が1人官軍に向かっていったのか、っていうのは

ちょっとわかり辛かったかも。

あれだけ生きることに執着していた吉村だったんだから。
いやまぁ、

官軍ガールズに翻弄されながら舞う望海さんが最高にかっこいい

から結果的にはありがとうございますなんだけどさ。(ちょろい・・・)

 

 

  

 

次郎衛門は素朴な妾の子からお組頭さまへ、そしてお差配役へ、

とどんどん立場が変わっていって、醸す空気感まで変わっていったのはさすが。

それでいて、息子の千秋に対してほんの少し見せる優しい面とか

 遠く離れてもずっとしづを気遣ってくれているところとか

本当に素敵だったなぁ。

 

南部蔵屋敷の場面がこの作品のクライマックスとなるわけだけどさ。
ねぇ、貫一郎はさ、そこに幼馴染がいるって、知らないよ

貫一郎も次郎衛門も、何の因果かこんなところでこんな形で再会してしまうなんて、

って思うわけじゃん?

 

 

「おさーななーじみーのーじろーえもんにー

たーすけをもーとめたーのですねー」

みたいなカタコト台詞、要るー????!!!!!

これはちょっと本当になんとかしてほしかったわぁ・・・

 

 

原作では冒頭で貫一郎が南部屋敷へ駈け込んで、

そこからいろんなエピソードや時間を行ったり来たりしながら

その間を縫うように、この南部屋敷の貫一郎の様子が描かれてるんだけど、

私は読みながらずっと、きっと助けてくれるんだって信じて読み進めてたんですよね。

だって竹馬の友なんだよ。

大勢の手前切腹を命じたけど、でもきっと、結局はなんとかして助けてくれるんだって。

 

だからこの場面、私はきっと千秋に感情移入して観てたんだと思う。

ね?助けてくれるよね?ね?切腹とか嘘だよね?ねぇ?

ってずっと次郎右衛門にすがりながら読んだし観てた。

あまりにも辛い結末だった。

 

 

これだけの出血ならこのまま死ねるんじゃないかっていう

貫一郎さん本来の朴訥さと

でも自分は武士なのだからちゃんと腹を切って果てなくては

っていう誇りのようなものもまた涙を誘うんだよね。

 

 

屋敷の一間から外を眺める貫一郎に見えた故郷を思わせる雪、

そしてどこかから聞こえてくるような気がする愛するしづの歌声。

原作でもとっても美しく描かれていたこの場面。

ここの見せ方はすっごくすっごく好きだった!

鼻緒が切れる演出はちょっとベタだけど

でも銀橋で歌うしづさんの声はきっと貫一郎に届いていたと思うし

次郎衛門の精一杯の情けである火鉢や握り飯に涙する貫一郎の姿は感動的だった。

 

手元にある銭を息も絶え絶え数え、それを拙宅へ、っていう貫一郎。

ここの望海さんは本当にすごかった。貫一郎さんそのものにしか見えなかった。

 

しづの声を聞きながら曲がった刀で腹を切る貫一郎の姿は思い出すだけで涙が出るし

息絶えて横たわった貫一郎さんの姿は信じられないくらい美しかった。

 

ただ、ただね。

手紙を読むのが千秋で、「血がついてながんす」が佐助さんの方がよくない?

っていう疑問は最後まで残りました。ここいっつもひっかかってた。

 

 

 次郎衛門が戦地へ発つ前の母上との場面は初見時から号泣だった。

でもすぐ次の場面があるから大変だね咲ちゃん、とかいう邪念はあったけど。笑

次郎衛門の銀橋の歌(と演技)も大劇公演の前半と東京公演の後半では

全然違ってたように思う。後半、私が観た回では毎回涙を流していたように思う。

でもさ、あのラストはもっとこう・・・なんとかできなかったのかな。

 

 

ラストで貫一郎さんとおしづさんが歌う石割桜

辛いことや悲しいことも吹っ飛ばしてただただ幸せそうな2人を

眺めていられて幸せだったなぁ。
銀橋に出る時におしづさんがそっと貫一郎さんの肩の花びらを取るところ、

大好きだった。
手を取って銀橋を渡っていく2人は、まさに先行画像のようだった。

 

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登場人物がわらわら出て来て、トップコンビが真ん中にいて

みんな笑ってて、後列の人たちはせセリ上がりして・・・

って、宝塚の芝居のラストによくある定番中の定番だけど、

でも私はそんな風に終わる宝塚の作品が大好きだから

今回もそれが見られてとてもとても幸せだったな。

 

 

なんだかんだ、演出や脚本に突っ込みポイントはありつつも、それでも、本当に本当に大好きな思い出に残る作品でありました。

 

何より、真彩担といたしましては、

望海さんと夫婦役をさせて頂けた、ということが最高に幸せでございました。

ファンとしてももちろん幸せだったし、本人もとても幸せそうだったし、そんな本人の幸せそうな様子を見られたことも、なんて幸せな公演だったのだろうと思いました。

 

長くなるのでショーについてはまた改めて。(頑張って年内には!)

 

 

 (公演情報&お写真は劇団公式HPより)

kageki.hankyu.co.jp