『キオスク』

こちらは配信ではなく雪組公演の合間を縫って観劇してまいりました、

大空ゆうひさんご出演、舞台「キオスク」のお話。

 

 

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舞台「キオスク」

作:ローベルト・ゼーターラー
翻訳:酒寄進一
演出:石丸さち子

出演:林 翔太   橋本さとし
   大空ゆうひ  上西星来(東京パフォーマンスドール)
   吉田メタル  堀 文明
   一路真輝
   山路和弘

 

2021年1月22日(金)~24日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
2021年2月11日(木・祝)~21日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
2021年2月23日(火・祝) 静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール
2021年2月25日(木) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
2021年2月27日(土) JMSアステールプラザ 大ホール

 

STORY

1937年、ナチスドイツが台頭するウィーンに、

自然に恵まれた湖畔で母親と二人暮らしだった 17歳のフランツが やって来る。

母の経済的後ろ盾の男性が落雷事故で急死し、働きに出されたのだった。


フランツはタバコ店の住み込み見習店員となり、

母の知人である店主からさまざまな事を学ぶ。

また、店の常連 客である精神分析学者フロイト教授との出会いは、

無垢なフランツの心にさまざまな影響をもたらし、

教授は彼に人 生を楽しみ恋をするよう忠告を与える。

ボヘミア出身で謎めいた年上の女性アネュシカに心を奪われるフランツ。

人生に関する名言が印象的な最晩年のジークムント・フロイト

ウィーンでフランツの自立の扉を開くタバコ店の店 主・オットー・トゥルスニエク。


時代の激動にのみ込まれていくオーストリア・ウィーンで

青春の炎を燃え上がらせながら、

厳しい世情の中フラン ツは思いもかけなかった経験を重ねていく・・・。

 

 舞台「キオスク」公式HP

  

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 原作未読、朗読劇版未見。

事前の勉強もなく、当時の時代背景についても明るくありません。

なのでおそらくとても薄くしか摂取できていないと思うのだけれど

でもいろんなことを考えさせられ、そして感じさせられる舞台でした。

 

 
そして、かなりハードル下げて行ったおかげか(こら)

なかなか面白かったです。
でもやっぱり、自分にもう少し当時の歴史的背景の知識があれば

もっと理解出来たのかもなーとも。日々要勉強ですな。

 

 

まずゆうひさん。

何役もこなしてて、いろんなお姿が見れたのは嬉しい。

そしてそのどれもよかった。

でもなんだろう、何かちょっと物足りない気もする。なんでかな?

中では時間的にも長かった教授の娘役が好きだったかも。

お婆さん役も好き。だって本当に巧いんだもの。

あと、常連客役のロングコート姿も惚れ惚れする美しさだった。

もちろんおみ足やお胸も堪能させて頂きましたけれどもね!

(ありがとうございます!)

 

私はゆうひさんの舞台上にいるときのなんとも言えない存在感が好きだから

(なんていったらいいのか、生々しいリアリティと浮世離れ感が両在してる感じ)

いろんなジャンルの舞台で多様なお役に出会うゆうひさんにワクワクします。

 これからもいろんなゆうひさんに会えたらいいな。

 

 

あとやっぱりね。さとしさんはうまかった

私的にはズバ抜けてた。

キオスクの店主役だったのだけど、

どの台詞ももれなくちゃんと聞き取れるし、

教授が来店して動揺した時の新聞の畳み方とかそういった小芝居の上手さも好き。
調べてみたら、20年前から私はさとしさん好きー!って言ってるみたい。

やっぱり好き!

 

 

 主役フランツ役の林翔太くん

出ずっぱりの大熱演。とてもよかったです。

繊細で丁寧なお芝居をされる印象。

とにかく前向きで一生懸命なのが気持ちのいい主人公。

決して明るく楽しいストーリーではなく悲しい場面もあるけれど

フランツが可哀想、っていう風には見えなくて

悲しいことがたくさんある時代でも前向きに生きてる、

そんな印象を持ちました。

そしてご本人の人柄がにじみ出ているのか、

とっても人懐っこくて愛すべき主人公でした!

 

 

そんなフランツの母を演じた一路さん

一路さんは男役時代からとても朗らかで伸びやかな声をして

いらっしゃるのが印象的なのだけれど、

都会に出た息子フランツへの手紙の文面を読み上げる台詞が

とても快活で明るい声で、

この母に育てられたからフランツはあんなにも

溌溂としているのだろうか、と思ってしまう、

思わせてくれる、そんなチャーミングなお母さまでした。

 

 

 その他、フロイト教授役の山路さんはさすがの存在感で、

フランツが段々と懐いて行ってなんだかんだと仲良しになっていく

のが微笑ましかったし、年齢とか人種とか立場とかそういった垣根を越えて

友情を築いていくフランツとフロイトの姿にはじんわりと心が温かくなる。

 

ヒロインポジションにあたる上西さんも都会へ出てきた

フランツがなんだか吸い寄せられるように惹かれていくのが

納得な可愛らしく魅力的なお役でした。

穏やかで平和なフランツに対して、強く情熱的なのがいい。

 

 

 

時代背景やストーリーの結末は暗いもので、

心抉られるような箇所もあるのだけれど、なぜだか全体的な

作りはさほど暗い感じがしないのが不思議な作品。

 

幕開きに出演者の皆さんがご陽気に歌い踊るからか?

それとも主人公が果てしなく前向きだからか???

 

これが正解なのかどうかはわからないけれど、

ナチスドイツの時代、ユダヤ人の苦しみ、

そういったものを主題としつつも、それだけを、それ自体を訴えるのではなく、

そんな時代に生きた、とある青年のお話、的な要素を強く感じました。

 

 

 

あ、そうそう。

この作品、なんといっても装置が素敵でした!

主な場面となる「キオスク」のセットがまずいい。

ぎっしりと詰まった商品に常連客とやり取りするカウンター。

雰囲気もあるし、日々店を開け、客が来て、そして閉める、

そんな月日の流れがわかりやすく表現されているし、見やすく

場面転換もスムーズ。

 

そのうえ、東京のみならずこのセットと共に全国回ったって

いうのですから、素晴らしいですよね。

 

 

 

そんな感じの「キオスク」観劇雑感でした。