「夢千鳥」@宙バウ配信

またしてもGWのお話に戻ります。笑

 

素晴らしかった宙組バウ公演「夢千鳥」についてなど。

 

待ちに待ったそらちゃん主演2作目

前回はショー作品だったからお芝居での主演は初!

 

元々持ち合わせた歌&ダンスの実力に加えて

男役としてのかっこよさもぐんぐん増して満を持しての主演。

しかも相手役は同じく実力派の峰里ちゃん。

 

そんな各方面とても楽しみにしてた公演だったのですが、

初日開けて数日で緊急事態宣言による公演中止。

 

きっと観られなくなってしまった方も多かったかと思います。

 

ここで動いてくれた劇団。

なんと初の試み「無観客でのディレイ配信」というものに挑戦してくれました。

 

これまでの配信は実際に劇場で上演してる公演のライブ配信でしたからね。

 

 

ですが「無観客なら上演可」という

「はぁぁぁぁぁ???????」としか

言いようのない政府の政策(無策?)のせいで

それも出来なくなり、この試みになった模様。

 

おそらくですが、スカステの収録も終わってない段階での中止だったので

収録も兼ねて無観客での上演を敢行しそれを配信してくれたのだと思います。

上映開始前にそらちゃんのコメントがあったり、

主な配役が字幕で入ったり、などがLIVEとは違ったところかも。

 

 

でもおかげで土曜夜というとても見やすい時間帯に設定して頂いて

配信ながら観劇できてありがたかったです。 

 

 

 

大正浪漫抒情劇
『夢千鳥』
作・演出/栗田 優香   

 

映画監督の白澤優二郎は、女優の赤羽礼奈と事実上の婚姻関係にありながらも、

新作を撮る度に主演女優と浮名を流し世間を騒がせていた。
そんな白澤が挑む次回作は、大正浪漫を代表する画家・竹久夢二の人生を描いた物語。
幼い頃から運命の女を探し続けた夢二もまた、艶聞の絶えない男であった。

勝ち気な美貌の年上妻・他万喜と縁を切れないまま、

純真な女学生・彦乃への想いを募らせ──
撮影が進むにつれ、白澤は自分と夢二の境界が曖昧になるほどに

彼の人生に飲み込まれていく。
夢二の人生を描いた先に、白澤が見つけた愛とは…?
甘く儚い抒情画の世界観に骨太な愛憎劇を織り交ぜ、

詩情豊かな舞台をお届け致します。

この作品は、演出家・栗田優香の宝塚バウホールデビュー作となります。  

 

主演:和希 そら

 

公演期間:2021年4月22日(木) - 5月3日(月)

     (4月26日以降公演中止)

 

宙組公演 『夢千鳥』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

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 宵待草が流れる幕開き。

主人公・夢二の少年時代から。

 

ここの少年夢二役が、

以前から好きな真白悠希くん

今回も変わらぬ芝居上手っぷり。

(そしてやっぱりメイク顔がキキちゃんに似てる)

 

夢二のお姉ちゃん役の有愛きいちゃん

顔で判別できる。だって雪担だから。笑

双子の一禾くんに負けないくらいこちらもお芝居上手ね。

 

 

夢二少年は、姉から言われた手を(絵の才能)を大切に、とか

いつか出会う運命の人を大切に、

とかそういった言葉をとても大切にしていたようだから、

プロローグの前後に入るこの少年時代の描写は

重要な位置付けであっただろうし、だからこそ、

下級生ながら芝居の上手なこの2人が配されたんだろうなぁ。

 

 

 

ここで入る開演アナウンス

これがまたそらちゃんの艶と色気のあるいいお声で素敵。

 

アナウンス終わりでコロスの間からセンターに

現れる夢二役・主演の和希そら!!(拍手!)

 

歌い始めた瞬間からわかるその上手さ。

そして和服での風情ある佇まい。

ドラマティックで素敵な主題歌。


センター奥からヒロイン・他万喜役の峰里ちゃんが登場!

黒い着物で妖艶な美しさ。

彦乃役・山吹ひばりちゃん、お葉役・水音志保ちゃんが相次いで登場し、

若く純粋な2人と他万喜さんとの対比もさすが。

まだストーリー動き出してないのに、夢二の周りを

美女3人が取り囲んでいてゾクゾクする。

 

ここに今度は、

恩地孝四郎役・留依蒔世、東郷青児役・亜音有星、と

続々と登場してきて、この座組の出演者の層の厚さに驚く。


このプロローグだけでもう豪華で最高!

 

 

物語の始めは映画監督・白澤役から動く。

この監督役のそらちゃんが、

ダブルコートの洋装でも素敵で!

ソファに座って煙草を燻らす姿とか本当にカッコイイ!

 

カッコイイといえば!神崎社長役のほまちゃん!(穂稀)
相変わらず惚れ惚れする巧さと貫禄。

 

女優・赤羽礼奈役で赤いドレスで登場する峰里ちゃんも

ほんっとうに綺麗!!!

 

このそらじゅりの2人の場面、現代だと雰囲気も変わってさすが!
空気なのか?湿度なのか?が夢二&他万喜の時と違うんだよね!

実力派同士の主演作って本当に隅々まで素晴らしいって

この2人が絡むたびに思わされる。

 

 

歌手役のきゃのんさん(花音)が歌う

「♪待ちましょう~」が冒頭の「宵待草」もそうだけど

耳馴染みも良い上にレトロな空気も感じさせて

夢二の詩人としての側面も紹介されて良き選曲。

 

礼奈と喧嘩した白澤が顔を出したバーの

バーテンさんがりんきらさん(凛城)で、

 

「ちょっと!りんきらさん出てるじゃん!
まだこれ以上実力派が出てくんのかよ!」

 

ってPC画面に突っ込んだりもしました。(笑)

 

 

ここの白澤とバーテンさんの

「離れてると愛おしく思うのに顔を合わせると口論ばかり」
「それは甘えてるんだよ」
「それならもっと可愛く甘えてくれたらいいのに」
「いやお前が甘えてるんだよ」

的な会話が白澤と礼奈の関係性をよく表わしているようで

とても印象的。

 

 

そして白澤の次回作の主人公である夢二の世界へ。

夢二の妻・他万喜の営む店に女学生・彦乃がやってくる。

ここでの他万喜さんが「夢二先生の絵から抜け出てきたみたい」って

表現されるのも納得な美しさ。

これが観客に納得出来るレベルに仕上げられるかって、

作品の届けたいメッセージの解像度を上げる上でとても

大切なポイントなんじゃないかって思う。

 

あと、女学生の朝木陽彩ちゃんがとても可愛い。好き。

 

ここ、店のセットの斜め奥に住居のセットが登場して、

学生や先生たちの噂話で、夢二と他万喜の現況

(籍は抜けているものの、子供もいて同居してて、

店の経営はそのまま一緒にしているなどなど)が説明された上で

店のセットが袖に消えて行って夢二と他万喜の場面になる・・・

っていう場面転換がとってもスムーズで素晴らしかった。

 

 

そしてこの2人の口論の場面の迫力が凄まじかった。
描けない苦しみと前夫への嫉妬をメラメラと燃やして

それを正面から他万喜にぶつける夢二。

怯むことなくそれを受け止める他万喜さんの強い瞳が印象的。
夢二が去った後に歌い始める他万喜さんの放つ色香!最高!

 

このヒロインが傷心のソロを歌った後に登場してくるのが

東郷役の亜音くん!くぅーいいとこに来るぅー!(笑)

 

亜音くんはね、芝居に関してはまだまだこれからだと思うんだけど、

他万喜さんと近距離で向き合った瞬間に吹き荒れる何かが

大物の持つそれであって、やっぱり大きな期待を抱かせる若手くんですね。

 

 

夢二が辛いからってお酒に逃げるのはどうかと思うのだけど、

芸者の沙羅ちゃん(花宮)が可愛くて

しかも良い声なので花街の場面も好き。


そらちゃんは台詞も低音がいい響きなのによく聞こえるのが好き。


沙羅ちゃんは芝居もいいな。
少しずつ近づいていく夢二の表情が男でありつつも

どこか守ってあげたくなる弱さもあって、

そんなそらちゃんから目が離せなくなっちゃうよね!

(あとね、暗転早すぎるよね!笑)

 

 

この後の嫉妬に狂った夢二のタンゴの場面

この作品の1番インパクトの強かった場面かも。

店で紛い物を売ったと知って激怒、からの

その紛い物が東郷の作品だと知った嫉妬・・・

 


鳥籠のセットも音楽がタンゴなのもベタと言えばベタなんだけど

背後に4組のダンサーを出して、真ん中で2人が着物って絵面がいい。

2人とも演技ダンスともにハイレベルに上手いのもいい。

 

ぶつかり合う2人が少しずつ求め合い、

愛ゆえの憎しみに苦しみ・・・でもやっぱり離れられない、

となったところで東郷が出てくるのがまたえぐい・・・

 

そして思わせぶりに彼と絡む他万喜が歌う
「♪もっと狂って~私に狂って~」

ここの峰里ちゃんの歌声と表情が絶品!

この渦巻く情念が夢二の筆を進ませるんだよね・・・

 

 

女学生たち。

彦乃ちゃん、あられちゃん、ひいろちゃん。

可愛いんだけど・・・さすが宙組の大きさ。笑
彦乃役の山吹ひばりちゃん

今作で初めてちゃんと認識したけれど瑞々しくて魅力的。
声は紫城るいちゃんを思い出す。お顔はわかばちゃんっぽい?

 

 

絵も描けず夫婦仲も上手くいっていない夢二の前に現れた彦乃ちゃんは

画家としての夢二を褒めてくれて、ズタズタだった彼の心に

すぅーっと染み入るように入って来たんだろうなぁ・・・

他万喜さんには夢二側が惚れ込んだそうだから、向こうからぐいぐい

押してくる存在は新鮮だったのかもしれないよね・・・

 


次の場面。

スター湊役の亜音くん

そのマネ役のきゃのんさんがハマりすぎで笑える。笑

 

 

歌う彦乃ちゃんを眺める夢二そらちゃんの表情の優しさったら!
彦乃ちゃんは最初は師としての憧れから共依存に近い関係になるのかな?

 

 

だからと言ってね・・・

彦乃ちゃんの両親に娘さんを夢二の嫁に欲しいって

頭を下げる他万喜さんはさすがに恐いんだよぅ・・・

「夢二がどれだけ他の女に手を出しても

絵のモデルにするのは自分だけ」

っていうささやかな心の支えが、

彦乃もモデルになったことで崩れたんだろうなぁきっと。

うぅぅぅ切ない・・・

 

ただの絵の師匠であろうって信じている彦乃ちゃんのご両親に

「お嬢さんはもう女です」(ニヤリ)

っていう他万喜さんも恐いんだようぅ。

でも同時に峰里ちゃんの演技力にも天晴れなんだよなぁ・・・

 

 

そもそも彦乃ちゃんだってさ、

他万喜さんのことが好きな東郷くんに

協力話を持ち掛けるくらいには強かなんだよなぁ・・・

 

 

駆け落ちのように夢二と飛び出して来て病が悪化した彦乃ちゃん。

連れ戻しに来たお父さんに対しての

「私が好きで付いてきたの」「愛しているの」
っていう絶叫の荒々しさが余計に胸に刺さる。

 

彼女と過ごした時間は夢二にとってのわずかな幸せな時間。

彦乃が去った舞台には紙吹雪が舞って

ただただ夢二の悲痛な歌声が響く。


足元に落ちた白い羽根を大切そうに拾い上げて・・・1幕終了

 


2幕。

彦乃と引き離された夢二のシーンを白澤が撮影している風景。

ドロドロとした作品の中で助監督のどってぃ(真名瀬)の

爽やかさが沁みる。笑(好き)

 

 

彦乃と引き離された夢二の辛さがどんなに深いものか、

それを監督として役者に語った次の場面に

今度は夢二役としてその悲しみの底にいる。

 

バーでグラスを煽るそらちゃんがこれまたいい。

(そらちゃんの男役所作のカッコよさが随所に溢れてるの最高)

 

なんとか夢二を新しい作品へ向かわせようと、

筆を持たせようとするあーちゃんのソロ・・・

こぼれ落ちる和希・夢二の涙・・・

なんて心に迫る歌声、そしてなんて綺麗な涙・・・

 

 

ここでようやく登場する3人目のヒロイン

水音 志保ちゃん演じるお葉ちゃん

落ち着いた紫のお着物がよく似合ってとっても綺麗。

夢二がモデルとしてを超えて女として魅了されるのも納得。

 

出会いから描かれてた彦乃ちゃんとは違って唐突感はあるかも?

でも、まだ若手だと思ってたひろこちゃん、

彦乃に比べるとやっぱりガツンと大人っぽく、

でももちろん他万喜さんほどの艶はなく

良い塩梅の純粋さを出していて好演!

 

この夢二とお葉ちゃんの場面の後に、
他万喜さんじゃなくて礼奈と西条の場面になるのも

時間軸が上手く交錯していて面白い。

両方の世界の人たちの時間が絡み合いながら流れていく。

そして、亜音くんと峰里ちゃんの並びもいい!

 

 

夢二の心の中ある彦乃の存在の大きさに傷ついたお葉が

もう出ていくと言った後に夢二が

「頼むから僕を置いていかないで」って

すがるところのこのズルさね・・・

これを、嫌みなく、包み込んであげたくなるように

演じられるのが和希夢二の魅力よね・・・

 

それでも結局お葉は

自分では夢二の心の中に住めないと悟って彼の元を去り、

失意の彼に追い打ちをかけるように届いた彦乃の死の知らせ。

 

宵待草に乗せた和希そら渾身の悲しみのソロダンス。
いやー本当に歌ってもいい踊ってもいい。最高。

 

 

3人の女たちを始め様々な人間たちのいろんな声が聞こえて来る・・・

翻弄される夢二。そして白澤。

「本当は誰も愛していない」

「運命の青い鳥を探し続けている」

大きなセットの鳥籠を開くと光が差し込んでくる。

歌声がドラマティックに響く・・・

 



映画の撮影がクランクアップし

「この役をやれてよかった」という礼奈に

「君に演じてもらえてよかった」と伝える白澤。
素直に想いを伝えられた2人のデュエットで幕。

 

 

私はこのラストがとても好きです。

映画の中の夢二は、結局誰も愛してなかったのかもしれないけれど、

夢二を通して愛についてを深く考えた彼は、

そして他万喜を演じてきっと同じように思い悩んだ彼女は、

自分の大切な人に対して素直に向き合えたんだろうと、

そう思えて幸せな気持ちになりました。

そしてなんといっても、

和希そらと天彩峰里の幸せそうなデュエット

これが聞けただけで満足度半端なかったです!!!

 

 

 

フィナーレがまた豪華であった!!

 

まずはあーちゃんのソロ歌。当然のように上手い!
そして紗羅ちゃんとひろこちゃんが両隣でダンス&コーラス。

半端なく可愛いし3人揃ってダンサー!最高!

 

赤いキラキラ、いやギラギラジャケット姿のそらちゃん

娘役を引き連れて登場!カッコイイ!
曲は中森明菜さんの「赤い鳥逃げた」

多くの娘役ちゃんと順に絡んでいくのサイコー!

歌もダンスも本当にイイ。(何回でも言う)

 

今度は一転、「♪待ちましょう」と

歌いながら白いドレスの峰里ちゃん
黒燕尾に羽扇の男役さんに囲まれて登場!

素敵!綺麗!そして歌声も綺麗!!
両サイドにあーちゃんと亜音くんが出てきて

3人で並んで踊る姿も素敵。


そして真っ白な燕尾姿のそらちゃんが後ろから登場。

デュエットからのデュエダン。
芝居本編とは打って変わって柔らかい表情の2人。
白いドレスの裾のボアが翻ってとても可愛い。

 

小劇場公演だって言うのにラインダンスまであるの?

なんて豪華なフィナーレ!!!
しかも亜音くんセンター!もうすっかり華やかなスターさん。

 

キラキラ黒燕尾で和希そら再び登場
ロダンスからの男役群舞!

動きの1つ1つまで本当に美しくてそしてカッコイイ。

ダンスのタイプとしてこっちゃんに近いものを感じる。

それは即ち、最高にカッコイイし最高に好きってことです。笑

宙男の中では決して大きい方ではないけれどセンターで踊る姿には

そんなのまったく感じさせない。

 


再びそらじゅりのデュエダン

今度は素晴らしく優雅で柔らかい。
同じ白だけど裾が青いグラデーションの綺麗なドレス。
リフト何回転するの!さすがダンサー!

そーちゃんもじゅっちゃんも安定した実力派である上に、

かっこよく美しくてうっとりしたため息が洩れるよね・・・

 

この公演を最後に花組へ異動するあおいちゃんの歌声が

デュエダンに花を添えていてこれまた素敵。

 

 

カーテンコールでは、あの末の弟ポジションだった(何年前の話だよw)

そーちゃんがとてもしっかりとご挨拶をしていて、

頼もしくなったなぁとしみじみと思いました。

 

そして宙組生として最後となった美風副組長からもご挨拶。

あおいちゃんのカラッとした明るさは

きっと花組でも発揮されるんじゃないかな?

古巣花組でのご活躍も期待しています!

 

 

 

芝居中はあまりの熱演に、この公演が無観客で配信されていることなど

すっかり忘れて見ていました。

それを思い出したのはフィナーレナンバーで、

特にリフトで拍手が入らないことに気付いた時でした。

その時にはちょっとだけ悲しい気持ちにもなったけれど、

そんなことよりもこんな素晴らしい作品が誕生したことが単純に嬉しかった。

 

 

栗田 優香先生、これがデビュー作なんですよね。

素敵な作品をありがとうございました!

これからも楽しみにしています!

あと、振付に確かそーちゃんが好きだと言っていた原田薫さんが入ってましたね!

(私も原田薫さんはダンサーさんとしても好きです)

才能ある個性あるいろんなスタッフの方を作品によって

お呼びするのはとてもいいですよね。

 

 

さて次はまだまだ続く5月のお話です。(多分)