続きまして。
大空ゆうひさんご出演「楽屋」
配信にて拝見いたしました!
(まだまだ10月のお話。笑)
unrato#7
「楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~」
作:清水邦夫
演出:大河内直子
音楽:三枝伸太郎
出演:女優A・保坂知寿 女優B・ 大空ゆうひ
女優C・笠松はる 女優D・磯田美絵
公演日程:2021年10月16日~24日
会場:赤坂RED/THEATER
死者の魂と生者の魂が 響きあう世界、『楽屋』。
四人の女優が紡ぐ 生命の讃歌と鎮魂歌。
この作品を 「鏡の中の戦士たち」に 捧げます。
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お恥ずかしながらこの「楽屋」という作品、
私は今回初めて知りました。
ちょうどこの公演の上演が発表になった頃、
彩吹真央さんたちのご出演版が上演されていたので
「同じ作品・・・なのかな・・・?」といった程度の認識で。
なのでストーリーや設定もまったく知らずに拝見しました。
舞台は楽屋と思われる場所。
化粧台が置いてあって、そこに女優が座ると
鏡の枠の中から客席を向くことになるようなセット。
女優Aの知寿さんと
女優Bのゆうひさんが
舞台上上下に置かれた化粧台に座ってお化粧中。
この鏡台、枠だけなんだけど
お2人の本当に映ってるみたいな視線の演技が
秀逸でございましたね!
女優Cの笠松さんは
「かもめ」の台詞を練習してる。
楽屋中をあちこち歩きまわりながら。
女優Aと女優Bのことは完全無視。
イライラと落ち着かない様子ながら、
どうやら出番になったようで楽屋を出て行く。
楽屋に残されたA知寿さんとBゆうひさんのやり取り。
このあたりすごく面白かった。
元々知寿さんのことが好きで、
だから今回の公演が発表になった時には
ゆうひさんが知寿さんとご共演!!!と
喜んだ人間なので、こんなにガッツリと
お2人の絡みを堪能できるなんて想像以上でした。
そしてやっぱり2人とも上手いのよ・・・
間の取り方も1つ1つの台詞のトーンも
それに付随するそれぞれの動きも。
2人の台詞から、どうやら2人とも役をもらえる女優ではなく
プロンプターであることがわかる。
それでも2人とも女優としてその役への想いが熱いのはよくわかる。
これまでにもらった場面や台詞を自慢・披露し合う2人の
可愛いこと可笑しいこと!
実際に演じたことないお役の台詞までも全部頭に入っているんですよね。
だってプロンプはしていたのだから。
とりわけ面白かったのは確かシェイクスピアか何かの台詞で、
2人の間で「台詞が違う!」と意見が食い違ったところ。
結論としては女優Aの翻訳が古すぎる、というオチなのですが、
もうこのあたりの2人のやり取りも笑いも起きていて最高でした。
女優Aと女優B・・・
パッと見あまり年代変わらないように見えるのに
女優Aはかなり年上なのかな
え?そもそもこれどんな時代設定???
と、ここらでようやく何か違和感に気付き始めました
(今更かよ)(ええ今更です)
あれ?何かがおかしい?
あと、あれです。
「かもめ」という作品をうすーーーーくですが
知っててよかった気がします。
(本当に薄いです)
(星組の礼さん版をスカステニュースで見ただけです)
おかげで「ニーナ」や「トリゴーリン」を
なんとなく理解できました。
出番を終えた女優Cが楽屋に戻って来る。
ここでようやく女優Dの磯田さんが登場。
女優Dは女優Cに対して
「もう健康になったからニーナの役を返してほしい」
と訴える。
しかしどうやら女優Dも元々はプロンプターで
ニーナ役ではなかったらしい。
精神を病んで入院していたらしい。
ここはなんとなく登場時からわかってた。
隠されてなかった。
だって、寝間着みたいな格好に枕抱えてるんだもん。
言い争う女優Cと女優D。
もちろんまったく存在を認められない女優Aと女優B。
あ、そっか。
見えてないんだ・・・
存在してないんだ・・・
この世にもういない人たちで、
でもずっと楽屋にいて、
だから「空気が澱んでる」みたいな表現されるし
身にまとうものにも色味が無いんだ・・・
と、ここまで来てようやく初期設定にたどり着きました。笑
そう。
女優Cは最初からずっとちゃんと色のあるお衣装なのです。
そうなると、女優Aの顔の傷跡や女優Bの首の包帯が
俄然気になり始めます。
そんな思考が頭を巡っていても
お構いなしに楽屋内ではストーリーが進み、
激高した女優Cがなんと女優Dを
ワイン(?)の瓶で殴ってしまいます。
そして殴られた女優Dが楽屋を去っていきます。
おいおいおい・・・
一体どうなっちゃうんだよ・・・
配信だと画面に映ってない箇所もあって
余計にいろいろ気になっちゃう
すると、再び戻って来た女優D。
なんと女優A・Bのことが見えると言う。
もちろん女優Cには見えないまま。
ここまでくるとさすがにどういったことなのか
理解できますよ。
ワイン瓶の当たり所が悪かった女優Dちゃんは、
女優A・Bと同じ世界にやって来たのですね。
きっとそのうち慣れるわよ、
みたいにあっさり説明してくれる女優A・Bに
自分の状況を案外すんなりと受け入れる女優D。
女優Aは戦前?戦中?の火災で命を落としたらしく、
女優Bは異性トラブルによって自死したそう
年代も人生の結末も何もかも違う3人だけど
「女優」という生き物の性なのか死して尚楽屋へ来てしまう
時間はたっぷりあるのだから、と
いつまでも楽屋に居続ける
チェーホフの「3人姉妹」でもしましょうか?と
打ち解ける3人。
悩み苦しみながらも今日も女優として
舞台に立ち続ける女優Cも含めて
「女優としての魂」に満ちている「楽屋」
これ、結末(設定)知ってから見るのも面白い
ですよね、きっと。
自分たちがなんのために生きているのか、を
ちょっと考えさせられたりもしますし、
女優Aの力強い「生きていきましょうよ」という言葉に
背中を押してもらえた気もします。
見終わってみて、
では一体「流れ去るもの」とは何だったのか?
っていうことなんですけど。
まぁ演劇作品のテーマなんて正解があるとは限らないし
あってもそれが1つじゃない場合も多いと思うんですけど、
でもなんとなく私が思うには
まずは大前提として「時間」
これは当然
あとはやっぱり
「女優の魂」「女優の性」
「女優という生き物の演じることへの本能的快楽」
「女優という生き物の憧れの役を演じることへの執着」
みたいなものなのかなぁ、
とかなんとか、正解を出すことよりも
考えてみること自体が大切なんじゃないかとも思ったり。
私は基本的には宝塚作品の観劇が多くて
華やかで豪華な作品に包まれて幸福感を得るのが
観劇のメインの目的だけれど
ゆうひさんを追っていると
時々こういった、ふと立ち止まって何かを考える
そしてもっとシンプルにいろんなことを
考えるようになる、
そんなリセットのタイミングをもらえて
それもまたとても贅沢な趣味だな、と思います。
あと、最後にファンっぽいこと言いますけど(笑)
今回のボブのゆうひさん、似合っててとっても可愛かったですね!
ステージナタリーさんのリンクを貼っておきますね!
最後にそれかよ!って感じですが笑
そんな「楽屋」の感想でございました!
ありがとうございました!!!
さてお次は。
まだまだ10月に配信で拝見した公演がありまして。